2015年8月8日土曜日

De la Costa (1958), "Review: The Inscrutable West: What Does The West Want?"

The Inscrutable West: What Does The West Want? Review Author: H. de la Costa, Philippine Studies vol. 6, no. 4 (1958): 470–473

この書評では、この書物を次のように紹介する。

冷戦の文脈で、共産主義側に対する「西側West」とは実のところ何であるのか。その本質が問われている。とはいえそれは一律には言いにくいが、先ずは平和を希求していると言える。

それは特に、目下対立している共産主義勢力との間の平和である。西側の考えからすると『共産主義』という考え方とは和解できるが、マルクス=レーニン主義のもつ独裁権力による支配は受け入れがたく、よって現に存在するソ連との平和は困難である。そうなると現下の冷戦、というあり方を余儀なくされるが、今後についてはソ連の具体的な当局者の態度次第の面もある。

また、アジアにおいて、新興独立国が西側と東側のどちらに付くかの問題があり、過去の帝国主義の歴史を考えると西側は不利である。西側は帝国主義を放棄し、アジアと対等な関係を築こうとしなければならない。「対等」とは異なる者同士が兄弟的な関係に入ることである。

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デ=ラ=コスタはここまで述べた上で、ではそのような兄弟的な信頼、愛の関係ということを語る根底にどのような基礎があるのか、と問う。「西側」においてどのような人間論があるのか、と。

もちろん、一人一人の人間と共に人類全体を価値づける基礎を論じるのは、一神論的、キリスト教哲学的であると言える。

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